30代半ばから後半以降の年代の人をベテランと呼ぶならば、東京で働いている看護師の中でベテランはかなりの数に及びます。地方では、女性は結婚したら家庭に入って、育児・子育てに専念する専業主婦になるという、ある種の固定観念がありますが、東京にはそういった考えはあまり見られないようになりました。良いか悪いかは別として、東京の女性は出産育児が一段落したら、また職場に復帰する人が多いようです。
現在、看護師不足が全国で叫ばれていますが、東京もその例外ではありません。病院としては看護師不足で悲鳴を上げている状態ですが、当の働く看護師としてはこれほどありがたいことはありません。求人は探せばいくらでもありますし、より自分の条件に合うようにということで、複数の病院の求人条件を比べて選ぶことができます。出産や育児を終えて、再就職しようとすると、他の業界では難しいのが現状です。しかしながら、看護師免許さえ持っていれば、現在では非常に就職しやすくなっています。
さて、再就職しやすいのはありがたいことですが、いざ再就職して働くには難しい側面もあります。まず、医療の技術についていけるかどうかという問題があります。医療の進歩は目覚しいものがあり、日々刻々と変化しています。昨日までは正しいとされていた治療法が、今日には間違いだとされることさえあります。ましてや、数年も経ってしまえば、病院の中は様変わりしているでしょう。新しい器具で新しい治療法、そしてそれに伴う新しい知識を身に付けられるかどうかというところに、子育て後の再就職組は不安を抱いているようです。
しかしながら、元来真面目で努力家の人が多い看護師ですから、そのあたりの問題は努力でカバーしている人が多くいます。新しい知識を身に付けるために書籍を大量に購入して勉強したり、新しい器具の使用方法を学ぶために、年下にも積極的に尋ねようという姿勢があります。ずっと独身で過ごしている人がお局と呼ばれて偉そうにしているのに対し、再就職組は腰が低い人が多いのが特徴です。また、現代の治療の考え方の最先端を学ぶために積極的にセミナーなどに参加して、知識をどんどん吸収していく人も多くいます。
いずれにせよ、再就職組はゼロからのスタートだという気持ちで、フレッシュな気持ちで働いている人が多くいます。また子育てを経験することで、同じような立場の患者様の気持ちに共感する力を身に付けることができます。